空き家

バケツをひっくり返したような大雨、そして雷。
雷はかなり近く、ものすごい音がする。
命の危険を感じた私は、とりあえず、そばにあった空き家の軒下に避難した。

木造の、ボロボロの空き家。
雷って、どういう場所が危険なんだっけ。
ゴルフ場とか……?
ここは大丈夫かなぁ……
ずぶ濡れになった制服の水を絞りながら考えていると、視界が閃光に包まれ、同時に、空気を引き裂くような雷鳴が轟いた。
「お嬢ちゃん……」
「ひぃっ!」
突然、背後から声をかけられ、変な声が出てしまった。
「中に入りなさい」
ぼろ家の引き戸を開け、陰気な老人が、手招きしていた。
空き家だと思い込んでいたが、そうではなかったのだ。
「でも……あの……私、びしょ濡れなので……」
「いいから、こっちへ入りなさい」
「あっ」
老人は、シミだらけの骨張った手で私の腕をつかむと、グイッと引っ張り、家の中へと引き入れた。そして、ガラガラと耳障りな音をたてる引き戸を閉めた。



家の中は暗く、独特の匂いがした。
奥に、明かりのついた部屋が見える。
「ついておいで」
「あ、いえ……あの、私やっぱり帰ります」
私が出て行こうとすると、老人はまた、私の腕をつかんだ。
「今、外に出るのは危ない」
私は、老人の表情から意図のようなものを探ろうとしたが、なにも読み取ることができなかった。
「で、でも……私、すごく濡れてるんです。お家に上がったら、床が濡れちゃいます」
「そんなことは大丈夫だ、気にするな」
老人はつかんでいた私の腕を引っ張り、奥に連れて行こうとした。
私はあわてて靴を脱ぎ、家の中に進むしかなかった。
まあ、相手は老人ひとりだし、本気を出せばすぐに逃げられるだろう。

私は、髪も、制服も、靴下も、全部がずぶ濡れだった。
廊下は、私の足跡と、ポタポタと落ちた水滴で濡れてしまっている。
すると、奥から思いもよらないものがやってきた。
「えっ、ロボット掃除機!?」
しかも、拭き掃除のできるタイプだった。
ロボット掃除機は、私が濡らした床をきれいに拭いていく。
ボロボロの空き家だと思っていたのに、意外とハイテクだ。

私は老人に引っ張られ、さっき玄関から見えた、明かりのついた部屋に連れて行かれた。
部屋はそれなりに片付いていて、不潔な感じは全くしなかった。
まず目に入ったのは、大きなテレビだ。
ちゃぶ台の上には、ノートパソコンとスマホも置いてある。
さっきのロボット掃除機といい、家の外見からは想像できないハイテクさだ。
部屋の隅に、布団が敷きっぱなしになっているけれど、寝具はきれいに洗濯されている。
「この家には、ひとりで住んでる。掃除や洗濯は、家政婦さんに頼んでるがね」
老人は、私の疑問を察したように言った。
「お茶でも入れたいところだが、まずはその、ずぶ濡れの体をなんとかしないとな」
老人はそう言うと、部屋を出て、いかにも清潔な、ふんわりとしたバスタオルを持って戻ってきた。
「服は浴室乾燥で乾かしてあげるから、今すぐ全部脱いでしまいなさい」
「えっ……あ、いや、でも……それは……ちょっと……」
「寒いんだろう。体が震えている」
老人は私の両肩に手を乗せ、言った。
「風邪をひくから、早く脱ぎなさい」
確かに、寒さで体が震えている。
「さあ、早く」
脱いだらどうなっちゃうんだろう……
ほの暗い興味が、私を突き動かした。
セーラー服の上を脱ぎ、スカートも脱ぐ。
やっぱり、下着まで、濡れてしまっている。
「全部脱いでしまいなさい」
老人が、私をじっと見ている。
私はうつむき、下着も、靴下も、全部脱いだ。
一糸まとわぬ姿になった私の肩に、老人はさっきのバスタオルをかけてくれた。
「拭きなさい。私は、服を乾かしてこよう」
老人は、私の脱いだ服を持って、部屋を出て行った。
部屋は暖かい。
冷たい服を脱いだおかげで、私の体はすぐに暖まった。
老人が戻ってきた。
「服は一時間もあれば乾くだろう。体の方はどうだい。寒くないかな?」
「はい、ありがとうございます……」
私は、服がないので、とりあえず、湿ったバスタオルを体に巻きつけていた。
「ああ、そのタオルはよくないね。また体が冷えてしまう」
老人は、当たり前のようにタオルを取ってしまった。
「私の服を貸してもいいが……君はとても綺麗だね。隠してしまうのはもったいないな」
老人は私の体を見て、ため息をついた。
「もっとよく見せてくれ」
老人は私の胸に手を添えた。
「んっ……」
「大丈夫、酷いことなんかしないよ」
老人は、両手で私の胸を包みこみ、そっともんだり、乳首を指でもてあそんだりした。
「ほうら、乳首が固くなってきた……」
老人はそう言うと、乳首をキュッとつまんだ。



「んあっ──」
老人は指先で、私の体を確かめるように、ゆっくり、ゆっくりなぞっていった。
私は、体が火照り、クラクラして、酔ったような感覚になっていた。
お酒の味はまだ知らないけれど、きっとこんな感じなんじゃないかと思う。
ああ……なんだろう。
なんだか……そう、じれったい。
さっき乳首をつままれた時のような、強めの刺激が欲しい。
股の間がうずいている。
たぶん、よだれを垂らした獣みたいになっている。
その時だった。
老人の指が、そっと股の割れ目に分け入ってきた。
「ああっ……あっ……」
私は耐えきれず、老人にもたれかかった。
老人は、私の出したいやらしい液体のまとわりついた指で、一番敏感な突起を激しくもてあそんだ。
「ひっ、ああんっ……あっ、あああっ──!」
私は絶頂に達し、老人にしがみついた。
もう、自分の全てを老人にゆだね、快感だけをむさぼりたかった。
「もっと欲しいかい」
老人が言った。
「はい……もっと欲しいです……」
私は、すすり泣くような声で答えたのだった──

おわり