秘密のラブドール

納品が間に合わない!
会社のため、わたしは人形のフリをしてお得意様の元へ…
《読了時間の目安:17分》

「うわぁあああ!」
となりで作業していた男性が突然、叫び声をあげた。
「ど、どうしたんですか……」
よくあることなんだけど、わたしは一応、わけを聞いてあげることにした。
「マズい……ものすごくマズい……」
大きな丸いフレームのメガネをかけ、塗料で汚れたエプロン姿、長身で細身の青年は、わたしの雇い主。
と言っても、この会社、『オリハラドール』には彼とわたしの二人しかいない。
彼は社長でありながら、この会社の制作主任である。そして、わたしはその見習いだ。
オリハラドールでは、社名の通りドールを、つまり、人形を作っている。
人形と言ってもいろいろあるけど、ウチで作っているのは『ネオ・ラブドール』。
ラブドールっていうのは……まぁその、ダッチワイフの一種で、『男性の性的欲求を満たすための等身大の女性の人形』なんだけど、『ネオ・ラブドール』はその進化系。
もう、どう見ても人間にしか見えないドールなのだ。
骨や筋肉、脂肪の感触、肌の弾力、粘膜の感触も、全て本物そっくり。
高性能の太陽電池も組み込まれていて、人間の手助けがあれば歩かせることもできるし、肌のぬくもりも再現している。
ちなみに、女のくせにそんな会社で働いているわたしは、レズビアンではないし、ラブドールに特別興味があるわけでもない。
もともと人形作家になりたくて美術学校に通っていたんだけど、その頃、たまたま目にしたオリハラドールの人形──つまり、今、わたしのとなりにいるオリハラの作ったドールを見て、心を奪われてしまったのだ。
いつかは、自分のドール作品で食べていけるようになりたいと思っている。
「ユキちゃん、どうしよう……大失敗しちゃった」
オリハラは泣きそうな顔で言った。
彼はなんと言うか……芸術家肌で、子供のような面がある。
仕事の腕は、確かなんだけどね。
「落ち着いてください、どうしたんですか」
また発注ミスでもしたのだろうか。それとも、塗料をこぼしたか……制作中の人形に傷をつけちゃったとか……?
「忘れてたんだ……今日お届けのドール……まだ作り終わってない」
「えっ、今日のですか!? 間に合わ……ないんですよね」
「うん……途中まではできてるんだけど……頑張っても、夜になっちゃう。お届けは今日の午後三時なのに……」
「じゃあ……お詫びの連絡をしましょう」
「うぅ……やっぱり、それしかないかなぁ……」
「そりゃ、そうですね」
「あぁ……ニシヤマさんは数少ないお得意様なのに……ゼナン工業に乗り換えられちゃうかもしれない……」
「ニシヤマさんですか……まぁ……仕方ないじゃないですか。間に合わないんだから……」
ニシヤマさんというのは、ウチのお得意様。
わたしは配達をしないから会ったことはないんだけど、ウチでたくさん買い物をしてくれる上客だから、名前と、ドールの好みは覚えている。
そして、ゼナン工業というのは、最近出てきた新進企業で、オリハラドールのライバル会社だ。
ウチのような超零細企業とは違って、規模が大きく、大量生産のネオ・ラブドールを安く、迅速に提供している。
おかげで、一部のマニアしか手を出さない高級品であったネオ・ラブドールが、誰でも手軽に買えるようになり、一躍有名になった。
その頃から、ウチのお客さんは減り始めた。
ウチの商品は一体一体手作りだから高価だし、ある程度時間もかかるのだ。
それでも初めのうちは、ウチの繊細な仕事と、オーダーメイド品を好んでくれるお客さんも多く、ゼナン工業をそれほど脅威だとは思っていなかった。
ところが、ゼナン工業の新しい商品、『オーダーメイドプラン』がウチに大打撃を与えた。
『オーダーメイドプラン』は、ボディから顔まで、用意されているパーツの中から自由に選び、組み合わせて、自分好みのドールを発注できるというもの。
オーダーメイドに近いドールが手軽に、低価格で手に入るようになり、ウチのお客さんは激減してしまったのだ。
ただ、わたしに言わせてみれば、ゼナン工業のドールはやっぱり大量生産品だなぁという感じが否めない。
特に『オーダーメイドプラン』は、バラバラのパーツを無理矢理組み合わせるから、バランスが悪く、ちょっと気持ちが悪い。
素材もあまりいい物を使っていないから、劣化も早いし、感触もウチのとは全然違って……まあ、お客さんにとってネオ・ラブドールは、飽きたら捨てる消耗品で、顔のパーツが少しズレてるくらい気にならないのかもしれないけど……
「そうだ! ……でも……うん、大丈夫、これしかない! ユキちゃん!」
わたしが物思いにふけっていると、オリハラが目を輝かせて言った。
「へっ……あ、あぁ、なんでしょう」
「ユキちゃん、君が代わりに行ってくれ!」
「……は?」
「だから、君がドールの代わりにニシヤマさんの家に行くんだ!」
「え……? あ、直接行ってお詫びするってことですか」
「いやいや、そうじゃなくて、ユキちゃんがドールのフリをするってこと。君は小柄だし、ちょうどいいよ!」
「は……、はぁ? なっ、何言ってるんですか! 無理ですよ、バレますって……そりゃあ、ネオ・ラブドールは人間と見分けつかないですけど……わたしはドールみたいに完璧じゃないし……あ、そうだ、そもそもオーダーと違うドールが行ったらマズいじゃないですか!」
「それなら問題ない。ニシヤマさんは今回、全て僕に任せるって言ってくれてたんだ。届いた時のお楽しみってことでね。大丈夫。夜までには君そっくりのドールを仕上げて、すり替えに行くから」
「え、でっ、でもぉ! ラブドールなんですよ? せ、せ、性的なコトが始まっちゃったらどうするんですかぁ! イヤですよ、わたし」
「あ、それなら大丈夫だと思うよ。ニシヤマさんはそういうことしないって言ってたから。純粋にドールが好きで、好きな服を着せたり、写真を撮ったり、眺めたりするだけだって言ってたよ。ウチの商品はラブドールだけど、ドールとしての造形が気に入ってるから買ってくれるんだって」
「うぅ……」
「お得意さんがいなくなったら、この会社がつぶれちゃうんだ。ボクを助けると思って……ね? それに、ニシヤマさんはかなりのドールマニアでコレクションも豊富だから、貴重なドールがたくさん見られると思うよ」
「うぐ…………」
貴重なドールのコレクション……
「ま、まぁ、しょうがないですね……わかりました。行きましょう」
貴重なドールのコレクション──喉から手が出るほど見たい。
「よし、じゃあ早速準備にかかろう!」
わたしはお風呂に入って全身を洗い、それから、ドール用のかわいらしい衣装を着て、オリハラの手でヘアメイクもしてもらった。
ちなみに、ドールのフリをする間、トイレに行けないわけだけど、その対策もできている。
パンツ一体型の、使い捨てオムツを身に付けているのだ。
一昔前までは、大人がオムツと言うと恥ずかしい感じだったけど、時代は変わり、今は違う。
技術が発達し、驚くほど薄くて、臭いも消えるものが出て、映画や行楽など、トイレに行きにくいときに気軽に使う人が増えたのだ。
ニーズに合わせ、普通のかわいいパンツにしか見えないものもたくさん出ている。
わたしが身に付けているのもそうだ。
「うん、完璧だ! これで大丈夫。すごくかわいいよ! ユキちゃんそっくりのドールを作るのが楽しみになってきた」
オリハラは満足げに言った。
「ほんとに、バレませんかねぇ……」
「息はなるべく静かにね。もちろん、声も出しちゃダメだよ」
「はぁ……」
「まばたきも、なるべく見られないように。まあ、これは、最悪しちゃっても不具合って事にできるから」
「うぅ……」
「ないとは思うけど……もし、危ない状況になりそうだったら、正体をバラしちゃっていいからね。連絡もらえれば、ボクもすぐに行くから。まぁ、できれば最後まで頑張ってほしいんだけど……」
「できるだけ、頑張ります……」
わたしたちは会社の車に乗り込み、届け先であるニシヤマの家へと向かった。
ニシヤマの家の前で車を止めると、オリハラは言った。
「じゃあ、演技開始だ」
「もうですか?」
「うん、見られちゃったら大変だからね」
「わかりました」
わたしは無表情になり、体を固くした。
オリハラは車から降り、外から助手席の方まで回ってきて、ドアを開けた。
もう、わたしは自分から一切動けないのだ。
オリハラがわたしの体の向きを変え、車から降ろし、関節を伸ばして、外に立たせた。
わたしは、いつも作っているドールの動きを思い出しながら、オリハラの動かす通りに関節を動かす。
「うまい、うまい」
オリハラの言葉にも、もう答えられない。
「いいよ、その調子」
オリハラは笑顔でつぶやき、車のドアを閉めると、わたしの横に並び、そっとわたしの背中を押した。
わたしはゆっくりと足を前に出し、オリハラの背中を押す力に合わせ、わざとぎこちなく歩いた。
ニシヤマ氏の家はかなり大きな豪邸で、わたしは驚いてしまった。
やっぱり、高級ドールを集めているだけのことはある。
門の所でインターホンを鳴らすと、ニシヤマが応答し、自動的に門が開いた。
奥に進むと、玄関のドアを開けて、ニシヤマが待っていた。
──いよいよだ。
「オリハラさん! お久しぶりです」
「どうも、いつもお世話になってます」
ニシヤマとオリハラが挨拶を交わす。
ニシヤマは小太りで、中年のおじさん……という感じだけど……意外と若いのかな? うーん、年齢不詳だ。
「それにしても、素晴らしい!」
ニシヤマは、わたしを惚れ惚れとした表情で、様々な角度から眺めて言った。
いきなりバレるかもしれないと思ったけど、どうやら、第一関門は突破できたらしい。
「え、ええ、おまかせということでしたので……かなりリアルな感じにしてみました。気に入っていただけましたか?」
「もちろん! 素晴らしいですよ……とても気に入りました」
「あ、ありがとうございます。その……大事にしてやってください」
「もちろんです。私のドールコレクションをお見せしたことがあるでしょう。みんな大切に扱っています。この娘もたっぷり愛してあげるつもりですよ」
「あ、いや、すみません、愚問でしたね。あ──では、私はこれで……何か気になることがございましたら、またご連絡ください」
「ええ、わざわざありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとうございました」
オリハラはおじぎをすると、足早に帰っていった。
これから急いで、わたしそっくりのドールを作るのだ。
「さっ、今日からここが、君のおうちだよ──」
オリハラがいなくなると、ニシヤマの声色が突然変わった。
わたしは不安を感じつつ、ニシヤマに背中を支えられ、ニシヤマ邸の中に入っていった。
豪華な家の中を奥へと進み、突き当たった所にある扉を開けると、そこはすごいことになっていた。
(うわ──っ、すごい! 高級ドールだらけ! オリハラさんのドールもいっぱいある──っ! かわいいよぉおおお!)
わたしは感激して表情を動かしてしまいそうになり、あわてて気持ちを抑えた。
(あぶない、あぶない……)
「ごめんね、今ちょうど、メアリーの相手をしていたところだったんだ……最後までしてあげないとメアリーがヤキモチを焼くから、ちょっとだけ待っててね──」
ニシヤマはそう言いながら、名残惜しそうにわたしの頭を撫でると、部屋にあるベッドへと向かった。
ベッドの上には、裸の……あられもないポーズをしたドールが横たわっている。
オリハラの、ネオ・ラブドールだ。
(え……ま、まさか……)
そのまさかだった。
ニシヤマは、そのドール本来の使い道どおりのことを始めたのである。
(こ、こうゆうことしないはずじゃ……)
マズい。
ものすごくマズい。
このままだと、わたしも何をされるかわからない。
でも──わたしはニシヤマの様子を見ながら思った。
メアリーで満足して、今日はこの後、何もないんじゃないだろうか。
一日に何度もするような年齢でもないだろうし……うん、きっとそうだ。……そうであると信じたい。
「じょうずだよ、メアリー……ん? メアリーも気持ちよくなっちゃったのかな?」
わたしはついつい、ニシヤマとメアリーの状況に見入ってしまった。
分類的には、その……オナニーなんだろうけど……ドールがリアルだから、本当のセックスに見える。
ドキドキしてきてしまい、わたしはあわててベッドから目をそらした。
とにかくわたしは、ドールになりきって、できる限り頑張るしかない。
きっと、大丈夫だ。
やがて、ニシヤマが果て、それは終わった。
ニシヤマはメアリーに話しかけながら、メアリーのボディを拭いてやり、きちんと服を着せ、部屋に並ぶたくさんのドールたちの中に戻した。
「ふぅ……さてと。次は君の番だよ──」
ニシヤマがわたしの方に向かってきた。
(き、きたぁ──)
「うーん、君の名前はどうしようかなぁ……そうだ、エミリーがいい。いいね、君はエミリーだ──」
ニシヤマはそう言って、わたしの頬を撫で、軽く揉んだりして、その感触を楽しんだ。
「オリハラさんのドールは本当に素晴らしい……今日は何もしない予定だったけど、やっぱり我慢できないなぁ──」
(なっ……)
「やっぱり、着替えだけでもしよう。いいね、エミリー?」
(な、なんだ、着替えか……)
着替えは、もしかしたらあるかもしれないと想定していた。覚悟もできている。
「ほら、このドレス。エミリーに似合うと思うんだ」
ニシヤマは、部屋にある大きなクローゼットから、アンティーク調の高級そうなドレスを取り出し、わたしに見せた。
(うわぁ、すごい……かわいい……)
「うん、気に入ってくれたみたいだね! じゃあ、お着替えさせてあげるからねぇ」
ニシヤマはわたしの着ている服を脱がせ始めた。
「フフフン、フン──」
ニシヤマは鼻歌を歌いながら、慣れた手つきで服を脱がせいていく。
わたしは慎重に、ニシヤマの動かす通りに体を動かす。
ワンピースを脱がされ、下着姿になると、ニシヤマの鼻歌が止まった。
「これは……なるほど……ンフフフ……おもしろい。フフ、フン、フン──」
ニシヤマは再び鼻歌を歌いだし、下着に手をかけた。
(えっ、ええぇ──っ!)
下着までは脱がされないだろうと思っていたわたしは、焦った。
しかし、あっという間にブラジャーとパンツを脱がされてしまい、わたしは見ず知らずの男の前で裸になってしまった。
それでも、辛うじて、ドールのフリを続けることはできていた。
「おや、ドールにしてはめずらしい……エミリー、君はアソコに毛がはえているんだねぇ……」
アソコの毛を撫でながら、ニシヤマが言った。
(やだっ……そんなところっ! ううぅ、どうしよう、もう正体を明かして謝っちゃおうか……でも……こんな格好にまでなっちゃって……今さら言うのも逆に恥ずかしいし……着替えだけって言ってたわけだし……)
すぐに服を着せてもらえるに違いないと思い、わたしはもう少し我慢することにした。
ところが、ニシヤマは、
「少し、君の感触を確かめてみようかな?」
そう言って、わたしの体のあちこちを触り始めたのだ。
「うーん、いいねぇ、素晴らしい。このオシリも、かわいらしいおっぱいも」
オシリを撫でられ、胸を揉まれ、わたしの頭の中はパニックだった。
(うわぁあ、どうしよう、どうしよう……ひっ、ひいっ!)
いつの間にか、ニシヤマは、わたしの乳首を口で吸っていた。
「う……ん、ヂュルル……いいよ、エミリー……」
ニシヤマはわたしを腕に抱き、乳首を舐めたり、吸ったり、指でクニュクニュとこねくり回したりした。
わたしの頭の中は真っ白になってしまった。
(こっ……こんなことになっちゃって、今さら正体なんて明かせない……)
こうなったら、とにかくもう、意地でもドールのフリを続けるしかない。
早く、服を着せてっ──!
しかし、ニシヤマはなかなか服を着せてはくれなかった。
「どうしたのかな? エミリー、お着替えの途中なのに、気持ちよくなっちゃったのかなぁ? エッチな娘だね──」
ニシヤマはそう言うと、わたしの乳首を両手で強くつまんだ。
(んぐぅっ──!)
わたしは声が出そうになるのを必死に堪えた。
「しょうがない娘だ──そんなに欲しいなら、少しだけ愛してあげようかな……特別だぞ?」
(た、頼んでないからっ──)
そんなわたしの気も知らず、ニシヤマはわたしをベッドへと導き、寝かせた。
「いっぱい触ってあげようね──」
ニシヤマの両手が再びわたしの胸を包み、乳首をクニュクニュと刺激した。
「気持ちいいかな──?」
(やばい……ほんとに気持ちいい……気をつけないと、声出ちゃう……)
わたしは無表情で、宙を見つめたまま、必死に快感に耐えた。
それからニシヤマは、わたしの上に覆い被さり、乳房を両手で寄せて、乳首を舐め始めた。
「エミリーの乳首、ペロペロしてあげるよ……」
(あぁ……すご……い……おかしくなっちゃいそう……)
それからしばらくの間、ずっと乳首を責められて、わたしはどうにかなりそうだった。
「エミリー、おっぱいが気持ちよかったのかな?」
(お……終わり……? よかった、なんとか、持ちこたえた──)
そう思ったが、違った。
「次はどこだと思う?」
(え……?)
「ココだよ──」
ニシヤマの手が、わたしのアソコをくすぐるように撫でた。
(や、やだ……どうしよう……)
「どれどれ……エミリーのココはどうなってるのかな……?」
割れ目の奥に、ニシヤマの指が埋まっていく。
「うわっ、エミリー、おま○こをこんなにして──早くさわってほしくてウズウズしてたのかな? ずいぶんスケベな娘なんだなぁ──」
ニシヤマにおっぱいを責められて、わたしのアソコは、グチョグチョに濡れてしまっていた。
いくら、ネオ・ラブドールが高性能でも、アソコが濡れる機能はない。
ドールを使う時は、ローションを使うのだ。
(さすがに、バレたかな──)
しかし、ニシヤマは不思議に思う様子もなく、わたしのアソコをさわり続けていた。
そういうものだと思ったのかもしれない。
(でも、マズいな……本物のドールとすり替えたら、もちろん濡れないわけで……うっ)
冷静に仕事の心配をしていたわたしだったけど、すぐにそれどころじゃなくなってしまった。
ニシヤマの指が、激しくわたしのアソコを刺激し始めたのだ。
濡れているから、グチュグチュと卑猥な音がする。
(あっ、ダメっ……そこは……体が反応して……声出ちゃうし……ビクンビクンしちゃうよぅ……)
ニシヤマの指は、容赦なくわたしの一番敏感なところを責めてくる。
「エミリー、かわいいよ……気持ちいいんだね……」
とうとうニシヤマは、指を中に入れてきた。
中をかき回されて、わたしは猛烈な快感に襲われた。
(ダメっ、ダメぇっ、もう我慢できないよぉ──!)
もう、ドールのフリなんかやめて、思いっきり感じてしまいたい──
……と、その時だった。
インターホンが鳴った。
「ん……?」
ニシヤマの指が止まる。
「こんな時間に、誰だろう──」
ニシヤマの視線が外れた隙に外を見ると、いつの間にか暗くなっていた。
(そ、そうだ……)
快感で頭が真っ白になっていたわたしは、オリハラとの打ち合わせを思い出した。
オリハラの知り合いがニシヤマの家を訪ね、長話でニシヤマを玄関に引き止めている間に、わたしは外に出て、代わりのドールを戻す作戦だったのだ。
(そっか……もう終わりか…………)

わたしの体の中には、ニシヤマによってもたらされた快感が渦巻いていた。
そして、その快感は、わたしの理性をほとんど奪いかけていた。
「エミリー、ごめんね、ちょっと待っててね」
ニシヤマがわたしから離れる。
(あ……)
「待って!」
わたしは体を起こしてニシヤマの服の袖をつかみ、思わず、声をあげていた。
「おや……」
ニシヤマは驚いた様子でわたしを見つめた。
「あ、あの……すいません……これにはワケがあって……それで……その……」
「それで?」
ニシヤマに促され、わたしは一番言いたかったことを言った。
「あの……い、行かないで……」
「おや……」
「ごめんなさい……でも……もっと……してほしくて……」
「わかってるよ、エミリーはエッチな娘だもんね」
「じゃ、じゃあ……」
「でも、オリハラさんが心配するんじゃないかな?」
「それは…………はい……」
「とりあえず今日は、帰った方がいい。必要なら、いつでも連絡して。今日は、君の正体をすぐに見破ったことにしよう。もちろん、何も起こらなかった」
「……はい」
「私の密かな趣味についても、黙っていてくれるかな?」
「それは、もちろんです……」

そういうわけで、わたしは服を着て、ニシヤマと共に正面玄関から出て行った。
オリハラはワケを話してニシヤマに謝り、そして、わたしにそっくりなドールをニシヤマに渡した。
ニシヤマは笑って許し、初めから間に合わないと言ってくれればよかったのに、と言った。
オリハラの作品に惚れていて、ゼナン工業なんかに乗り換えないとも。
それから数日後、わたしはニシヤマ邸のドール部屋にいた。
「はぁ……本当に素晴らしいドールです……この前はちゃんと見られなかったですけど、こうしてじっくり見れてうれしいです」
「それはよかった」
ニシヤマは笑顔で答えた。
「それにしても……あの……わたしが声を出したとき、あんまり驚いてませんでしたね。もっと驚くと思ったんですけど……」
わたしは不思議に思っていたことを言った。
人形が突然声を出したら、もっと、ものすごく驚くはずだと思ったのだ。
「あぁ、それね」
ニシヤマは面白そうに笑って言った。
「ずいぶん始めの頃に、気付いてたんだ」
「えっ、そうなんですか? すぐ……ですか?」
「初めは全然気付かなかったんだけどね。着替えさせようとしたときに気付いたんだ。パンツだよ、下着の」
「え……」
「一目見て分かったんだ、あれはオムツだった。ドールにオムツは必要ないだろう?」
「す、すごいですねぇ、普通のパンツにしか見えないのに……」
「だって、アレ作ってるの、私の会社だからねぇ」
「えぇーっ、そうだったんですか! なるほどぉ……ははは……じゃ、じゃあ、それから後は、もう……」
「うん、まぁ、それから注意して観察してみたら本物の人間だって分かったよ」
「そうだったんですか……」
「その後は、イタズラ心っていうか……君の反応を見て楽しんでた。もちろん、嫌がったらすぐやめて謝るつもりだったし、あんなことまでするつもりはなかったんだけど……つい。本当にすまなかったと思ってる」
「あ、いえ……それは別に……わたしも……早く言えばよかったというか……」
「必死に我慢してたんだろうけど、さわるとピクンピクンって体が反応してね」
ニシヤマは笑みを浮かべて言った。
「そうなんですか? 動いてないつもりだったのに……」
「君はその……すごくかわいかったよ」
「そ、そんなこと……」
「それに、とってもエッチなお人形さんだったよね……アソコをあんなにして」
「ニ、ニシヤマさん……」
「エミリー……いや、ユキちゃん……お人形ごっこの続き、するかい? そのために来たんだろう?」
「あ……はい」
わたしは頬を赤く染め、うなずいた。

おわり