恐怖のエレベーター

男2人、女1人。
閉じ込められたエレベーターの中で…
《読了時間の目安:10分》

ガタン、と音がして、突然、エレベーターが停止した。
「えっ──!?」
同時に、室内の明かりも消えてしまったのだが、すぐに、別の明かりが点灯した。──おそらく、非常灯だろう。
しかし、階数を示すランプは、消えてしまっている。
なにかのトラブルで、エレベーターが止まってしまったようだった。
エレベーターの中には、わたしの他に、男性が2人、乗っていた。
「なんだ、故障か?」
アロハシャツを着た、悪人づらの男が不安げに言った。
「なんでしょうね」
サラリーマン風の、スーツを着た男が答える。
「あ……たぶん、この辺り一帯で、停電しているみたいです」
わたしは携帯の画面を見て、言った。
「えっ、そうなの? なんだよ……まいったな」
アロハシャツの男はそう言うと、金色の腕時計を見て、眉をひそめた。
よく見ると、金の指輪に、金のネックレスもしていた。
──コワモテオヤジ。
わたしは密かに、彼にあだ名をつけた。
スーツの男性の方は……うん、メガネ男子にしよう。
「それじゃあ、非常ボタンを押しますね」
メガネ男子はそう言うと、緊急連絡用のボタンを押した。
すぐに、応答があった。
「こちら、監視センターです。エレベーターが止まっているんですよね」
「あ、はい、そうなんです」
「誠に申し訳ございません。先ほど、その辺りで電線が切れる事故があったようでして──」
監視センターの説明はこうだった。
電線が切れてしまったため、電力の復旧には半日以上かかる。
救助隊を手配しているが、停電が起こったのはオフィス街。そこら中でエレベーターが止まっていて、救助の手が足りない。
で、これが一番重要なことなのだが……このエレベーターの救助は、早くても、1時間後になってしまうというのだ。遅くとも、2時間以内には、ということだった。
「あーあ。ったくよぉ……」
コワモテオヤジが、苛立たしげにつぶやき、床に座り込んだ。
メガネ男子の方も、やれやれといった様子で、かばんを床に置く。
わたしは、携帯の画面に表示された時刻を確認して、小さくため息をついた。

気まずい沈黙が続いていた。
初対面の人間と、この狭い空間に閉じ込められるというのは、なかなかつらいものがある。
「よう、嬢ちゃん」
携帯をいじっていたコワモテオヤジが、突然、わたしに話しかけてきた。
「はい?」
内心、嫌だったが、この状態で険悪なムードになるのはよくないだろう。
そう思ったわたしは、努めて明るく返事をした。
「彼氏いるの?」
「へっ!? あ……今は、いませんけど……」
突然なにを言い出すのかと思いつつ、仕方なく答える。
「へぇー。じゃあ、寂しいだろ」
「ま、まあ……そうですね……」
「アレはどうしてんのよ?」
「あれ……?」
「んなもん、セックスに決まってるだろぉ? ヒヒヒ……そこは分かってよ、子供じゃないんだから」
「は……?」
わたしは驚きのあまり、口をぱくぱくさせた。
「それとも、あれか。彼氏じゃなくても、やってくれる相手がいんのか」
「そっ、そんなこと……」
「じゃあ、一人でやってんのか? それじゃあ、物足りないだろぉ」
「なっ……なに言って……」
この人、普通じゃない。
「なあ、たまってんだろ? おじさんが、いいことしてやるよ……」
コワモテオヤジは、ニヤニヤ笑いながら言うと、わたしの太ももに手を伸ばした。
「ひゃっ!」
驚いたわたしは、思わず飛び退いた。
しかしここは、狭いエレベーターの中。
思いっきり、壁にぶつかってしまった。
「ううっ……」
肩を強打してしまい、痛みに顔を歪める。
「おいおい、大丈夫か? そんなに暴れたら危ないじゃないか。狭いんだから……」
コワモテオヤジは立ち上がり、わたしにせまってきた。
「ひっ……」
わたしは助けを求めるように、メガネ男子の方を見た。
メガネ男子と、わたしの目が合う。
そうだ、この人がちゃんと言ってくれれば──。
ところが、メガネ男子は、予想外の行動をとった。
完全に怯えた表情をしたメガネ男子は、わたしから思いっきり、目をそらしたのだ。
「え……」
一瞬で、わたしの心は絶望に染まった。
呆然として、思わず動きが止まってしまう。
コワモテオヤジは、そんなわたしを壁の隅に追い込み、そして、わたしの胸をもみはじめた。
「やっ……やめてくださいっ!」
我に返り、わたしは必死にもがいた。しかし──
「おい……大人しくしろよ。おじさんが気持ちよくしてやるって言ってんだからさぁ」
コワモテオヤジが言った。
笑みを浮かべていたが、その声には、明らかに、脅迫の色が混じっている。
「ううっ……」
怖くなったわたしは、抵抗を弱めた。
「そうだ……いい子だ……それでいいんだよ」
コワモテオヤジは、満足そうに言いながら、わたしの胸を痛いくらいに、激しく、もみしだいた。
「どれどれ……」
コワモテオヤジが、わたしのスカートの中に手を入れた。
わたしは、足を固く閉じて防ごうとしたが、コワモテオヤジの「ん?」というひと声で、すぐにその力を緩めた。
コワモテオヤジを怒らせるのが、恐ろしかったのだ。
「ヒヒヒ……こんなに濡らして……やっぱりたまってたんだ。なぁ?」
コワモテオヤジは、ゴツゴツした指で、ぐっしょりと濡れたわたしの秘部をいじりながら言った。
「うっ……んっ……うぐっ……」
胸をもんだときの乱暴さとはまったく違う、やさしい指使いに、わたしは快感を覚えはじめていた。
「ほうら、こんなに……ピチャピチャ、いやらしい音なんか出してよお……」
「あ……んっ……あぁっ……」
「よし……それじゃあ、全部脱げ」
「……えっ!?」
「ほら、早くしろ。早くしないと……」
コワモテオヤジは、片方の手をわたしの首にかけた。

「いいじゃねえか……」
コワモテオヤジは、全裸になったわたしの体を後ろから抱き、両手で乳房をもみながら言った。
「あぁっ──あっ、あっ!」
感じやすい乳首をつままれると、わたしは身をくねらせ、激しく反応した。
「ふふん……やっと素直になってきたな……」
コワモテオヤジは、わたしの反応をおもしろがるように、乳首をしつこく、こね回した。
「ああっ、ダメっ、もっ……もう……」
わたしは立っていられなくなり、コワモテオヤジの腕にすがりついた。
「おっと……やりすぎたかな」
コワモテオヤジは、わたしを抱きとめ、満足そうに言った。
「それじゃあ、そろそろ、お楽しみといくか……あんまり時間もないしな」
そう言うと、コワモテオヤジはズボンを下ろし、わたしに巨大なイチモツを見せつけた。
「どうだ……欲しいか? 俺のはデカイぞ……」
わたしはそれを見て、思わず、ゴクリとつばを飲み込んだ。
大きいし、それに、すごく固そうだ。
あんなので激しく突かれたら、どんなに──
「それとも……おあずけにするか?」
「えっ……」
「ククク……今の顔! そんなに欲しいのか」
わたしは唇を噛み、うつむいた。
恥ずかしさで、体中が熱くなる。
「大丈夫だよ。ちゃーんと、入れてやるから。ほら、こっちに尻を突き出せ」
わたしは素直に、コワモテオヤジの言う通りにした。
恐怖からではない。──本当に、入れて欲しかったのだ。
わたしはもう、すっかり、快感に心を奪われていた。
頭では、こんなこと間違っていると分かっている。
でも今は……とにかく、あの巨大なモノが欲しくて、たまらないのだ……。
「ほうら……どうだ?」
熱いモノが、わたしの潤みきった秘部にあてがわれた。
ああ、すごい。もう、我慢できない。早く……!

「お願い……もうダメ……じらさないで……」
わたしは涙声で懇願した。
「よし、それじゃあ、行くぞ!」
次の瞬間、わたしの頭は真っ白になり、猛烈な快感だけが、感覚のすべてを支配していた。
「ああっ、すごいっ──すごいよぉっ!」
巨大な肉棒に貫かれ、激しく突かれる快感に、わたしは狂喜した。
「あぁっ、きもちよすぎるぅっ──しあわせぇっ──!」
あまりの快感に、わたしは自分が壊れてしまうような恐怖を覚えたが、そのまま死んでもいいとさえ、思うのだった。
わたしは、最初から、ほとんどずっと、イキっぱなしだった。
「すっ……すげえな……はぁっ……はぁっ……それじゃ、俺も……そろそろ……!」
そう言うと、コワモテオヤジはわたしの腰をつかみ、思いきり突き上げた。
「はあぁああんっ──! あっ……はぁっ……んんっ……!」
わたしの中で、巨大な肉棒がドクドクと脈打ち、熱いものを注ぎ込んでいた。
「ああっ……すごいっ……いっぱい……出されちゃってるぅ……」
知らないオヤジに中出しされるなんて、普通なら、絶望するようなことだ。
しかしわたしは、心から、よろこんでいた。
快感におぼれ、完全に、おかしくなっていたのだ。

わたしは、裸のまま、ぐったりと横たわっていた。
強烈な快感の余韻に囚われていたのだ。
「おい、お前」
コワモテオヤジは、メガネ男子に声をかけた。
そういえば……いたんだっけ。
見ると、メガネ男子は、最後に見たのと同じ場所に立っていた。
「お前……俺たちのを見ながら、こっそりオナニーしてただろ」
「そっ、そんなことはっ……」
「いいんだよ……隠さなくても。俺たち、仲間じゃねえか」
「ええっ……!?」
メガネ男子は、恐怖に怯えている様子だった。
そりゃ、怖いよね……なんか、すごいことになってるし……オナニーしてたとか、たぶん、言いがかりだし……。
わたしは少し、彼に同情した。
「だからよ、オナニーなんかしてないで、お前も、やらせてもらえよ。まあ……俺の後で悪いけどな」
「えっ!?」
「ほら……さっさとしないと、救助が来ちまうぞ」
「そっ、そんな……」
メガネ男子は、困り果てた様子で、ぐったりと横たわるわたしを見た。
しかしわたしは、とろんとした目で、彼を見つめ返すことしかできなかった。
少しずつ理性は戻ってきていて、彼が困っていることは十分、理解できるのだが、もう一度気持ちいいことができると思うと……コワモテオヤジの提案を、拒絶することができなかったのだ。
「嬢ちゃん、ぐったりしてるところ悪いけど、コイツも楽しませてやってくれよ」
コワモテオヤジに言われ、わたしは無言のまま、立ち上がった。
壁に手をつき、お尻を突き出す。
やっぱり、もう一度気持ちよくなりたいという欲望の方が大きかったのだ。
「ほら、早くしろ。嬢ちゃんに悪いだろ」
「ううっ……」
無理矢理、わたしのいる所に連れてこられたメガネ男子だったが、わたしのお尻を目の前にすると、ゴクリと喉を鳴らした。
ズボンを下ろし、ひっそりと猛り狂っていたモノを、むき出しにする。
それを見たわたしは、思わず、うっとりとした、ため息をついた。
これじゃあまるで、変態だ……。
そんなことを思っていると、メガネ男子がわたしのお尻をギュッとつかんだ。
「ううっ……すみませんっ……すみませんっ──!」
「ひあぁぁっ──!」
熱い肉棒を勢いよく突き刺され、わたしはのけぞった。
「あっ、あっ、すごいよぉっ──またっ──気持ちよくなっちゃうぅっ!」
激しく突かれ、中をかき回され、わたしは再び、狂おしいほどの快感に包まれた。
「ああっ……ごめんなさいっ……ごめんなさいっ……こんなことっ……」
メガネ男子は、うわ言のようにつぶやきながら腰を振り、わたしの乳房を両手でわしづかみにして、もみしだいた。
「ああっ、だめぇっ、そんなにしたらっ──!」
強すぎる快感で、わたしの体はビクンビクンと痙攣していた。
「もっ……もうっ……ダメっ……あっ、ひあぁっ……」
わたしは、その表情をだらしなく弛緩させ、うつろな目を天井に向けて、あえいでいた。
コワモテオヤジに犯され、さらに、メガネ男子に犯されて、快感は最高潮に達していたのだ。
「ふぁっ……あっ……」
「あぁっ、イクっ……もうっ……イキますっ──」
メガネ男子はそう言うと、指が食い込むほど強く、わたしの腰をつかみ、引き寄せ、すべてを注ぎ込んだのである。

「大丈夫でしたか?」
救助隊の男性が言った。
「ああ、問題ないよ」
「だ、大丈夫です……」
コワモテオヤジとメガネ男子が言った。
「あっ、そちらの女性は……どうされました、大丈夫ですか!?」
わたしが床に座り込み、ぐったりしているのを見て、救助隊の男性があわてた様子で言った。
「あ、この子はね、大丈夫。俺たちの連れだから。な?」
コワモテオヤジが、メガネ男子に言った。
「えっ、ええ……そうなんです。ちょっと……あの、風邪気味みたいで……」
と、メガネ男子。
「そうでしたか……では、体調を悪くされた方は、いらっしゃらないんですね」
「おう」
「はい……」
「了解いたしました。では、次の救助活動が立て込んでおりますので……なにかありましたら、こちらにご連絡ください」
救助隊の男性は、わたしたちにエレベーターの管理会社の連絡先を渡し、次の現場へと向かっていった。
「嬢ちゃん、大丈夫か?」
誰もいなくなると、コワモテオヤジがわたしに言った。
「はい……なんとか……」
わたしは力を振り絞って、立ち上がった。
「ははっ、危なかったなぁ」
コワモテオヤジが、メガネ男子に言った。
実は、メガネ男子が絶頂に達したのとほとんど同時に、救助隊が到着したのだ。
全裸だったわたしは、あわてて服を着て──もう、とにかく、大変だったのである。
「それじゃ、俺はもう行かないと。急いでんだ。嬢ちゃんがそんな状態なのに、悪いな」
コワモテオヤジが言った。
「あ、いえ……わたしは、大丈夫です」
なんだろう。なんだかおかしな状況のような気はするが──ダメだ、頭が回らない。
「おい、メガネ。嬢ちゃんをこんな状態にしたんだから、責任もって送ってやれよ」
そう言い残して、コワモテオヤジは行ってしまった。
わたしとメガネ男子は、顔を見合わせた。
「えっと……あ、あははは……」
「あはは……」
わたしたちは、ぎこちなく笑い合った。
「あ、送れとか言ってましてけど……いいですよ、わたしは大丈夫なので。……というか、おかしいですよね、この状況」
わたしが言うと、メガネ男子はみるみる表情を曇らせ、そして、突然、土下座をした。
「あっ、あのっ、本当に……すみませんでしたっ……僕、とんでもないことを……!」
それを見て、わたしはやっと、自分の身に起きたことを実感しはじめた。
そうだ……わたしは、ひどい目にあったんだ……。
「あの……もう、いいですから。あの人……すごく恐かったし。あのときは、逆らえない感じだったし……でもなんか、わたし気持ちよくなって、おかしくなっちゃって……結局、最終的には自分から……あはは、意味わかんないですよね……」
わたしは軽い調子で、メガネ男子に言った。ところが──
「あっ、あれっ……」
突然、ひざがガクガクと震えだした。それに、涙が勝手にあふれてくる。
「なにこれ……なんで……」
倒れそうになったわたしを、メガネ男子が支えてくれた。
「なによ……これぇっ……ひぐっ、うっ、うぇええん!」
わたしはメガネ男子の胸で、泣きじゃくった。
かなり長い時間、泣いていたのだが、メガネ男子はその間中ずっと、黙って胸を貸してくれていた。
いつの間にか、空は暗くなっていた。
「すみません……わたし……」
「いいんです、全然……僕が……ひどいことしてしまったんですから……」
メガネ男子の声は、やさしかった。
「もう、大丈夫です。立ち直りました」
たくさん泣いたら、少しさっぱりしたような気がする。
くよくよしていてもしょうがない。
わたしは勢いよく立ち上がった。
「ふあっ──!?」
目に映る景色がぐるぐると回り、上も下も、右も左も、わからなくなる。
(やばい、倒れるっ──!?)
と、次の瞬間、わたしは力強い腕に抱きしめられていた。
メガネ男子が抱きとめてくれたのだ。
「た……助かった……」
「本当に……本当にすみません! 僕のせいで……こんなにボロボロになって……!」
わたしを抱きしめたまま、メガネ男子は苦しげに言った。
「あっ、違うんです、今のは……」
急に立ったから、クラッときただけで──わたしは説明しようとしたが、途中でやめた。
メガネ男子に抱きしめられるのが、なんだか、心地よかったのだ。
わたしは、しばらくの間、そのまま抱きしめられていた。
「あの……やっぱり、送ってもらってもいいですか」
わたしが言うと、メガネ男子は抱きしめる力をさらに強めて言った。
「もちろんです! 僕が、一生守りますっ!」
「へ……?」
「あっ、いやっ、ちっ、違うんですっ、すいませんっ、怖がらないでくださいっ! 今のは決して、変な意味じゃなくて……」
しどろもどろになっているメガネ男子を見て、わたしは吹き出してしまった。
「ふふっ、大丈夫です。全然怖くないですから……」
「あ、はい、あの、ちゃんと、送りますので……」
「一生守ってくれるんですよね」
「へっ!? あ、もっ、もちろん、それは……はい。あなたさえ、よければ……」
「えへへ……」
わたしはメガネ男子に抱きつき、その胸に、顔をうずめた。
すると彼も、そっと抱き返してくれた。
そうだ、まずは、名前を聞かなくっちゃ。
わたしは言いかけたが、思い直した。
もう少しだけ、このまま抱き合っていたかったのだ──。

おわり