ヌシ様の生贄

10年に一度の生贄の儀式。生贄の役割は、ヌシ様の子を産むことだった!

村の東にある森には「ヌシ様」がいて、10年に一度、生贄(いけにえ)を捧げる儀式が行われる。
今年の生贄は、私になった。
生贄は、儀式の要となる一番重要な役割である。
そんな大役を務めることになり、私は不安だった。
10年前はまだ、私は幼かったから、儀式の記憶が全くない。その年の生贄だった女性に話を聞きたかったが、村を出て行ってしまったらしく、生贄の役割がどんな感じだったのか、聞くこともできなかった。
儀式の日、私は清めた素肌の上に、上等な絹で織られた衣を着せられ、御輿(みこし)に乗せられた。
長老を先頭に、村の男たちだけが集まって行列を組み、森の奥の洞窟へ向かう。女は、私だけだ。
洞窟の中の祠(ほこら)に着くと、私は御輿から降り、祠の中央に座らされた。
「あまり騒ぐんじゃないよ。全部ヌシ様にお任せすればいいんだから」
長老が私に言った。
私はそれを聞いて驚いた。ヌシ様というのは、いわゆる神様みたいなもので、実在しないと思っていたのだ。
しかし、長老の言い方からすると、ヌシ様は本当に存在するものらしい。
「では、我々は下がろう。ひと月後に迎えに来るから、頑張りなさい」
「ひと月!?」
私が驚くのを尻目に、長老と村の男たちは帰ってしまった。
「ひと月って……嘘でしょ……本当に!?」
私が混乱していると、洞窟の奥からコツコツという音が聞こえてきた。
私は暗い穴の奥に目を凝らした。
すると、いくつかの赤い光の点が見え、こちらに近づいてきた。
「え……えっ、やだ……いやぁあああああっ!」
それは恐ろしく巨大な蜘蛛だった。
私は悲鳴をあげ、逃げようとした。しかし、恐ろしさのあまり、動くことができない。
この大蜘蛛がヌシ様なんだ──!
ヌシ様は、太い足を器用に使い、私をひょいと持ち上げた。そして、糸を出し、私を祠の中央の空間に固定した。
「た、助けて……助けて……」
私は震える声で言った。
しかし、ヌシ様の動きが止まることはなかった。
ヌシ様は、霧状の液体を勢いよく出し、私に吹き付けた。
「ううっ、ゲホッ、ゲホッ……えっ、あ……やだ……!」
私は恐怖におののいた。なんと、服が溶け出したのだ。皮膚も溶けるのではないかと怖くなったが、どうやら、皮膚の方は大丈夫なようだった。
ヌシ様は、じっとこちらを見つめている。
「う……うう……」
なんだか体が熱くなってきた。
「ん……はぁ……はぁ……」
なんだろう、この感じ……この気持ち……頭が変になりそう……
すると、ヌシ様が動いた。
私の股の間に顔を近づけ、そして──口元から出ている触肢(しょくし)を私の中に差し込んだ。
その瞬間、爆発したような快感が私を襲った。

「ひぃいいっ! あんっ、ああんっ──!」
私は叫び、仰け反った。
ヌシ様は、探るように触肢を動かし、私の中をかき回した。
「やだ……んっ、ああっ……やめてぇ……!」
怖いし、嫌なのに、すごく気持ちよくて、私は泣いた。
もうだめ、気持ちよすぎて──!
「ああっ、だめぇっ、も、もうっ──!」
快感が絶頂に達した。体がビクビクと痙攣して、止められない。
触肢から液体が出て、私の中に注ぎ込まれているのが分かった。それはかなりの量で、私の腹部がパンパンに膨らんでしまうほどだった。
怖い……だけど、気持ちいいよぉ……
私は涙を流しながら、快感を貪った。

その後ずっと、私はそのままの状態だった。つまり、ひと月の間、祠の真ん中で、蜘蛛の糸に固定されていたのだ。
ヌシ様は、頻繁に私の口に謎の液体を流し込んだ。おそらく、食事だったのだろう。
そして、私の腹部はすごいスピードで、どんどん膨らんでいった。
ヌシ様の子を身篭ったのだ。
ヌシ様の子を産むことが、生贄の役割だったのである。
そしてひと月後、私はヌシ様の子を産んだ。
何百匹もの子蜘蛛を──
子が生まれると、ヌシ様は子と共に洞窟の奥に去って行った。
遠くで、御輿の鈴の音が聞こえる。
迎えがきたのだ──

おわり