セクシー仮面

まったくモテない、さえない男の正体は、セックスで女性を救うセクシー仮面だった!
《読了時間の目安:10分》

とある会社の休憩室。
昼食を終えた女子社員が集まり、うわさ話に花を咲かせていた。
「……セクシー仮面ってホントにいるのかな?」
「えーっ、都市伝説でしょ」
「でもぉ、先輩の友達の知り合いが見たことあるんだってよ?」
「うそぉ、マジ? 見たってことは……したってこと!?」
「やだぁ!」
「でも、スゴいんでしょ? わたしも会いたぁーい」
「あははは」
「なに言ってんのよぉ──」
小沢マモルは、そんな女子社員たちに近づき、声をかけた。
「あ、あのぉ……」
女子社員たちがいっせいに振り向く。
「は?」
「なに?」
マモルに向けられる視線は冷たい。
「あのぉ……そこの蛍光灯を取り替えたいのですがぁ……その……うふふ……」
「……どいてほしいわけ?」
「ぐはっ……すいませんがぁ……あの、はい……」
「んもう。だったらハッキリそう言えばいいじゃない」
「うふっ、すいませんねぇ……ぐふふっ……」
「行きましょ」
「そうね」
女子社員たちはニコリともせず、その場から立ち去っていった。
「はは……まいったなぁ、こりゃ……」
マモルは小声でつぶやくと、しまりのない笑顔を浮かべたまま、蛍光灯を取り替えにかかった。
小沢マモルは、典型的な『さえない男』である。
なんだかサイズの合っていないスーツ、古くさいデザインのメガネ、猫背で伏し目がち、気が小さく、いつもうす笑いを浮かべている。
先輩からはあきれられ、同期からは見下され、後輩からはバカにされ……もちろん、女性にもモテない。
しかし、マモルには誰にも言えない秘密があった。
マモルは、さえない男とは真逆の、『もうひとつの顔』を持っているのだ──

「……あれぇ」
蛍光灯を付け替えたマモルは、休憩室の隅に座っている女子社員に気が付いた。
同じ部署で同期の、宇野サナエだった。
うつろな目で一点を見つめたまま、じっと座っている。
テーブルに置かれた昼食の弁当には、手を付けていないようだった。
「あのぉ……お弁当、食べないんですかぁ? もう昼休み終わっちゃいますけど……」
マモルが声をかけると、サナエは驚いたように顔を上げた。
「えっ……あ、あぁ……」
「体調悪いんですか」
「べつに……」
「ちゃんと食べないと、体力持ちませんよぉ……でゅふっ」
「うっ……小沢クンには関係ないでしょ……」
サナエは顔をしかめ、立ち上がると、手早く弁当を片付け、休憩室を出ていった。
「……」
マモルはぼんやりとその後ろ姿を見送った。
だが、その目の奥には、鋭い光が宿っていたのである──

「宇野さん、まだ帰らないの?」
「うん、もうちょっと……」
「そう……あんまり無理しない方がいいよ? なんか最近、疲れてるみたいだし……」
「うん、ありがとう。でも平気だから」
「そお? じゃあ……お先」
「おつかれさま」
皆、仕事を終えて退社し、オフィスには宇野サナエだけが残った。
たまってしまった仕事を片付けなければならない。
しかし、疲れきった体は重く、仕事はまったくはかどらなかった。
こういうときは、体を回復させなければどうしようもないのだが、サナエは精神的に追いつめられ、悪循環から抜け出せなくなっていた。
気持ちは落ち込み、体調も悪く、肌も髪も、ボロボロ。
「はぁ……」
サナエが深いため息をついた、その時だった。
「美しいお嬢さん。君に、そんな悲しい顔はふさわしくないな──」
「え……」
サナエが振り向くと、そこには、一人の男が立っていた。

男らしく、たくましい体つき。
体にフィットした真っ赤なコスチューム。
目の周りを隠す黒い仮面。
なんとその正体は、あのさえない男、小沢マモルなのである。
そう──これがマモルの、『もうひとつの顔』なのだ。
「あなた、誰っ……」
青ざめ、身構えているサナエに、マモルは優しく言った。
「怖がらないで。僕はセクシー仮面──君を救いに来たヒーローさ」
「えっ……あなたが……ウワサの!? 本当に!?」
「ああ、そうだよ。君を、溺れるほどの快楽で満たしてあげる──今の君にはそれが必要だよ」
驚いた様子のサナエに、マモルはさわやかに笑いかけた。
いつものうすら笑いとは全く違う、自信に満ちた、完璧な笑顔である。
しかし、サナエは暗い表情で言った。
「あの……でも……無理だと思うわ。わたし……今、なにもする気が起きないの……それに……あなただって、わたしなんか嫌でしょう? わたしなんか……ううっ……」
するとマモルは、そんなサナエをひょいと抱き上げた。
「きゃっ、なにするのっ」
サナエはあわててもがいたが、マモルは構わず、サナエの耳元でささやいた。
「君はとてもキレイだよ……それに、なにも考えなくていいんだ。なにもかも、僕に任せていれば大丈夫だから──」
「そんな……」
「さあ、リラックスして──」
マモルはサナエをデスクの上に座らせると、両手で包み込むようにサナエの耳をふさぎ、優しくキスをした。
「んっ──」
サナエは驚いたようだったが、抵抗はしなかった。
「ステキな唇だ──」
マモルはそうつぶやくと、今度は熱っぽく舌を使い、サナエの唇に吸い付いた。
「んっ、ん……」
かたくなだったサナエの唇から、徐々に力が抜けていく。
マモルはすかさず、その唇の奥に舌を侵入させ、サナエの舌に自分の舌を絡ませた。
「んんっ……ん……」
サナエは切なげな声をあげ、やがて、マモルを求めるようにその舌を動かしはじめた。
しばらくして、マモルが唇を離すと、サナエは少し泣いていた。
涙を見られたサナエは、あわてて弁明した。
「あっ、やだっ……違うの、なんでもないのよ……なんか、こういうの久しぶりだったから……なんていうか……だから……」
マモルはそんなサナエを見て優しくほほえむと、軽くキスをして、その口をふさいだ。
「いいんだよ……自分の気持ちを押さえ込まなくていいんだ……」
マモルは椅子に座り、デスクに座っているサナエと向かい合った。
そして、サナエのブラウスのボタンを外し、ブラジャーのホックも外した。
マモルが優しく乳房をもむと、サナエは甘い吐息をもらした。
「んっ……ふぅ……」
「すごくかわいいよ……」
マモルが言うと、サナエはほおを赤らめ、目を伏せた。
「やだ……はずかしい……」
「はずかしがることなんかないよ。本当にかわいいんだから──」
マモルはそう言うと、今度はサナエの乳房を両手でもみ、乳首に吸い付いた。
「あっ、ぁあんっ、やだっ……」
「そんな声出して……どうしたの?」
マモルは両手でサナエの乳首をいじりながら、わざと意地悪く聞いた。
「だ、だって……あっ、んっ……」
サナエは困ったような表情であえいだ。
「気持ちいいんだ?」
「うぅっ……んっ、そんなこと……」
「ちゃんと答えて」
「んっ……気持ち……いい……」
観念したサナエが小さな声でそう言うと、マモルはにっこりと笑った。
「うん、いいこだね。じゃあ……ご褒美」
マモルはそう言うと、乳首を少し強めに刺激した。
「ああっ、やっ、はぁんっ、だめぇっ……そんなにしたら大きい声出ちゃうよ……」
サナエはマモルの手をつかんだが、マモルは構わず乳首を刺激しつづけた。
「大丈夫だよ。僕たちの他には誰もいないんだから……ほら……気持ちいいね」
「あっ、やんっ、も……だめぇっ……おかしくなっちゃうぅ……」
「いいんだよ……思いっきり感じて……」
マモルは椅子から立ち上がると、サナエもデスクから降ろし、立たせた。
そして、サナエの体をくるりと回転させ、うしろから抱きつくようにして乳房をもんだ。
「すごくエッチな体だ……」
マモルはサナエの耳元でささやくと、片方の手をスカートの中にすべりこませた。
「あっ……」
「大丈夫だよ……なにも心配ない……」
マモルはサナエの足や尻を思わせぶりな手つきでなでまわすと、サナエのパンツとストッキングに手をかけ、ゆっくりと下ろした。
そして、サナエの肩を優しく押し、デスクに手をつかせると、スカートをめくり上げた。
マモルの目の前に、サナエの白い尻があらわになる。
冷静な状態なら躊躇してしまうような恥ずかしい格好だったが、サナエは抵抗しなかった。
快感の虜になり、理性を失ったサナエは、熱に浮かされたような、恍惚の表情を浮かべている。
マモルはサナエの尻をなでまわし、そして、秘部に手を伸ばした。
そこは、あふれた愛液でぐっしょりと濡れていた。
「すごい……すごく濡れてるよ……」
マモルが愛液のまとわりついた指で秘部をなでまわすと、サナエは腰をくねらせ、切なげにあえいだ。
「もう、入れて欲しい?」
マモルはそう言いながら、サナエの中に指を入れ、ゆっくりと動かした。
「あっ、あんっ……入れて欲しい……」
「そう……どんなふうに……?」
マモルは固く、大きくなったペ○スを出すと、サナエの秘部に押し付け、じらすようにして言った。
「これが欲しいんだよね?」
「そう……早くぅ……」
「早く……?」
「んんっ……お願い……もう、我慢できないの……早く……あなたの……あなたのおち○ちんで、わたしの中、めちゃくちゃにかき回して欲しいのぉっ……」
「わかった……僕もだよ。僕も、早く君の中にぶち込みたくてたまらなかったんだ──!」
マモルはそう言うと、力を込めて腰を前に突き出し、一気に、サナエの中にペ○スを突き刺した。
「はぁああああんんっ!」
サナエはのけぞり、快感と、喜びに満ちた声をあげた。
マモルは腰を激しく動かしはじめた。
「ああ……すごいよ、君の中……うねって……吸い付いてくる……」
「はぁん、あん、ああっ、ひぐっ、んふうっ……!」
サナエは尻を突き出し、激しくあえいだ。
愛液があふれ、グチュッ、ジュブッと、卑猥な音を立てている。
「ああん、あっ、すごいっ、気持ちいいのっ……おち○ちん、すごいよぉ──」
サナエはあまりの快感にその表情をゆがめ、身をよじった。
「ああっ……僕もだ……すごく気持ちいいよ……」
しばらくすると、サナエは差し迫ったような声をあげた。
「ああっ、あっ、ダメっ、もう……あっ、わたしっ、イッちゃうよぉっ」
「わかったよ、僕もっ……イクよ──!」
マモルはサナエの尻をつかみ、ひときわ激しく腰を動かすと、深く、強く、突き上げた。
「ああっ、うああああああんっ! はぁんっ……うっ……ひぐっ……んん……」
絶頂を迎えたサナエは、目を潤ませ、体をビクンビクンと痙攣させた。

「そろそろ行かなくちゃ」
「もう行っちゃうの?」
サナエは、座っているマモルのひざの上に乗り、マモルに抱きついていた。
マモルはサナエの頭をなでて言った。
「ああ、君はすっかり元気になったみたいだからね」
「うふふ。そうね」
サナエは明るい表情を取り戻していた。
青白かった顔には、ほんのりと赤みが差している。
サナエはマモルのひざから降りて言った。
「セクシー仮面のウワサは本当だったのね。ありがとう……すごく……ステキだった」
「悩める女性を救うのが僕の使命なのさ。君が笑顔になってくれて、本当にうれしいよ」
マモルはさわやかな笑顔で言うと、サナエに一輪のバラを差し出した。
「わあっ、ありがとう──」
サナエはバラを受け取り、顔を上げた。
「あっ……」
しかし、そのときにはもう、セクシー仮面の姿はどこにもなかったのである。

「あれぇ……宇野さん、まだお仕事ですかぁ?」
「はっ──」
バラの花を見つめたまま、ぼんやりとしていたサナエは、驚いて顔を上げた。
サナエに声をかけたのはマモルだった。
もちろん、セクシー仮面ではなく、いつもの『さえない』マモルの姿だ。
「あっ、えっ……小沢クン!? まっ、まだいたの?」
「はぁ……残業で……あ……もう終わりましたけどね。ふふっ」
「あっ……そう……」
「あのぉ……お仕事……たいへんなら、手伝いましょうかぁ?」
「いっ、いいわよ、わたしももう帰るから」
「そうですか……ですよねぇ……ぐふっ、じゃあ、お先に失礼しますぅ」
「おつかれさま。……あっ、小沢クン」
サナエは不安げな表情になり、マモルを呼び止めた。
「あのさ……その……変な音とか、聞いてないよね……?」
「へ……なんのことです?」
「あ、いいのいいの、なんでもないから」
「はぁ……」
サナエはオフィスを出て行くマモルの後ろ姿を見て、眉をひそめた。
「あれ……んっ? んんっ!? いや……いやいやいや……まさかね」
サナエは苦笑を浮かべた。
「ふふ、ないない……小沢クンがセクシー仮面だなんて……それはないわ。ぷははは──」
サナエは笑いながら、帰り支度をはじめたのであった。

おわり