インチキ霊媒師とエロ幽霊

霊を信じていないインチキ霊媒師が
本物の幽霊に襲われてしまう

そのアパートのオーナーは悩んでいた。
どうもアパートの一室に霊がとり憑いているようなのだ。
おそらく、その部屋で死んだ男性の霊である。
部屋では怪奇現象が起こり、せっかく入居した住人も、すぐに出て行ってしまう。
オーナーは除霊のため、ネット検索でヒットした、《ムーンクリスタル・鏡子》という霊媒師を呼んだ。

やってきた霊媒師は、ミステリアスな雰囲気の若い女だった。
オーナーは、鏡子を部屋に案内した。
「この部屋なんですが……」
「ええ、わかりますわ。男性の怨念を感じます……とても危険だわ」
鏡子は部屋を見回し、身震いをした。
「では早速はじめます。除霊が終わるまで、私ひとりにしてください。少し時間がかかりますから、オーナーはご自宅に戻ってくださいね。終わったら、電話でご連絡いたしますので」
「わかりました。ちなみに……どのくらいの時間がかかるんでしょうか」
「霊の強さによりますが……」
鏡子はそう言うと、静かに目を閉じ、両腕を広げた。
「……そうですね、ここの場合は、最低でも二時間くらいは必要かと」
「そうですか……では、よろしくお願いします」

オーナーが部屋を出て行くと、鏡子はドアの鍵を閉め、さらにチェーンロックもかけた。
「うふふふ……」
鏡子は笑みを浮かべていた。
部屋の真ん中で、荷物の中からクッションを取り出し、それを枕にしてゴロリと横になる。
そして、スマートフォンの目覚ましを二時間後にセット。
「これでよし、と」
実は鏡子、霊能力など全くない、霊の存在すら信じていない、インチキ霊媒師なのである。
つまりは、詐欺師だ。
しかし、悪いことばかりではない。
除霊したと言えば依頼主は安心し、ほとんどの場合、怪奇現象も感じなくなってしまうのだ。
これは人助けでもあるのよ──
昨晩、徹夜でゲームをしていたせいでとても眠かった。
鏡子はすぐに、寝息をたてはじめた。

ピチャピチャと音がする。
そして、生暖かく湿っぽいものが太ももを這う感覚。
(えっ、なに……!?)
いつの間にか、服を脱がされている。
鏡子はあわてて体を起こそうとした。
ところが、体がまったく動かない。
目を開けることはできたが、首も動かせないのて、見えるのは天井だけである。
そのうちに、素肌を這う感触が太ももから腹へ、そして乳房へとあがってきた。
「ひいっ──!」
視界に入ったそれを見て、鏡子は息をのんだ。
年老いた男が、鏡子の乳首をちゅうちゅうと吸っているのだ。
「いやっ、やめて……っ」
鏡子は必死に逃げようとした。
しかしやはり、体が動かない。
「ヒヒヒ……無駄だよ。金縛りってやつだ」
男はニヤニヤと笑いながら言った。
「金縛り……!?」
鏡子は混乱し、もがきながら、男の顔を観察した。
落ち窪んだ眼球、生気のない肌、その向こうに天井が透けて見えて──
「えっ!?」
なんと男は、この部屋にとり憑いた霊だったのだ。
「いや……やめてっ……いやあっ!」
鏡子はあまりの恐ろしさに叫び声をあげた。
しかし、金縛りのため、体を動かすことができない。
男は笑みを浮かべたまま鏡子の乳房をもみしだき、乳首を吸ったり、こねくりまわしたりして、もてあそんだ。

「いやぁっ……うっ……んんっ……」
鏡子は苦しげにうめいた。
しかしその声は、甘い響きを帯びている。
拒絶する気持ちとは裏腹に、男の執拗な責めが鏡子の体に抗いがたい快感をもたらしているのだ。
「ようし、入れるぞ」
男はそう言うと、鏡子の足を大きく広げた。
鏡子の、秘花があらわになる。
その花びらは充血して赤く染まり、あふれ出た蜜をまとって光っていた。
「ヒヒヒ……いやらしい眺めだ」
男は目を細めてつぶやくと、花びらの中心にいきり立った肉の棒を押し当て、ゆっくりとうずめていった。
「だめ……あっ……んっ……」
鏡子は相変わらず金縛り状態で動けず、されるがままだった。
男は、奥まですっかりうずめてしまうと、腰を前後に動かしはじめた。
静かな部屋に、男の荒々しい呼吸、鏡子の押し殺したうめき声、そして、グチュッ、グチュッという、いやらしい音だけが響いている。
「ハァ……ハァ……どうだ、気持ちいいだろう」
男は腰をふりながら、鏡子に話しかけた。
しかし鏡子は、返事をしなかった。
この男は、幽霊なのである。
恐ろしくて、会話などできない。
ところが男は、鏡子が意地を張っていると思ったようだった。
「ヒヒヒ……抵抗しても無駄だぞ。感じてるのはわかってるんだ。締め付けがすごいからな……そらっ、これでどうだ!」
男はそう言うと、赤黒いそれを思い切り突き刺した。
「はぁあんっ──!」
奥深くを激しく突かれ、鏡子はたまらず声をあげた。
強烈な快感に体が仰け反り、痙攣してしまう。
鏡子は絶頂に達してしまったのだ。
「いい声で鳴くじゃないか──」
男は、いやらしい声をあげる鏡子を見下ろして、満足げに言った。
やがて男も、絶頂を迎えた。

「ううっ……ああっ……」
男は最後の一滴まで絞り出すかのように、ビクン、ビクンと体を震わせながら、鏡子の中に白濁液を注ぎ込んだ。
(お願い、もう消えて……!)
鏡子は、快感のために体を痙攣させながらも、それだけを願っていた。
しかし次の瞬間、男が発した言葉に絶望した。
「ヒヒヒ……次はうしろからだ。気持ちよすぎておかしくなっちまうかもな」
「そっ、そんな……」
と、その時だった。
「あれ、なっ、なんだ!?」
男の体が、まばゆい光に包まれている。
「えっ、そんな、いやだ、俺はまだっ、うわぁ────」
なんと、男は消えてしまったのである。

軽快な電子音が鳴っている──
スマートフォンの目覚ましの音だ。
鏡子は目覚ましを止め、重い体を起こした。
鏡子は裸だった。
(そうだ、あの男──!)
鏡子はあわてて部屋を見回した。
しかし、部屋には誰もいなかった。
玄関のドアも、ちゃんと鍵がかかっている。
(あれは夢なんかじゃないわ……)
あの男に責められた感触が、まだ体に残っている。
鏡子は男の最後を思い出した。
男は光に包まれて消えたのだった。
(成仏したのかしら……)
もしかしたら、セックスをしたことで心残りがなくなり、成仏したのかもしれない。
だとしたら結果的に、インチキ霊媒師である鏡子が本当に除霊をしたことになる。
「……笑えるわね」
鏡子はにこりともせずにつぶやくと、散らばった服をのろのろと拾いはじめた。
「えっ……ちょっと、なにこれ!?」
服がズタズタに破れている。
あの男が鏡子を裸にするときにやったのだろう。
「これも……これも全部!」
まともに着られる服はなかった。
「なんなのよ、もう……」
鏡子はその場にへたり込み、途方にくれたのだった。

おわり